幼児教育の研修などを通して学んだことやお伝えしたい事をひつじ通信にも載せて行きたいと思います。
<子どもの発達と集中力>
子どもたちの集中力が話題になる事がよくあります。しかし、よくよく考えてみると子どもたちの周りに刺激的なものや気の散る要素が沢山あります。
<刺激のすくないシンプルな環境の中で赤ちゃんの集中力は育ちます。>
子どもの集中力は赤ちゃんの時から育っています。自分の足や手をおもちゃにして、手と手を合わせてみたり、足をなめてみたり、毎日お世話をしてくれるお母さんやお父さんの顔をみたり、自分の身体を通して様々な発見をします。
赤ちゃんのお世話をする人は愛着形成を支える意味でも同じ人であることが大切ですが、集中力を高めるためにも、一定の人との深い繋がりが大切です。赤ちゃんは、毎日同じ人の顔を見ることによって、表情の微妙な変化も発見出来るようになります。同じ人や同じものとの深い関係も集中力が深まることを支えます。
また、赤ちゃんは自分の手をおもちゃにしながら、自分の身体を発見します。赤ちゃんの周りにおもちゃがあふれていると、赤ちゃんはいろいろなものに興味が行ってしまい、意識が集中しません。
また、大きな音やスピーカーなどから流れる音は赤ちゃんが聴くことに向いていません。赤ちゃんが聴くことに集中するためには、身近な大人が語りかけることや歌ってあげることが大切です。
<大人が子どもに寄り添い、子どもの集中力を支えましょう。>
少し大きくなると、お母さんのおひざの上で絵本を一緒に見ることが出来るようになり、次第に言葉も覚えて、一緒に指差しをして物の名前を言うようになります。その時に身近な大人が一緒に同じものを見て、「かわいいねこちゃんだね」「赤色だね」などと語りながら、こどもの集中力を支えてあげることが大切です。『お母さん』と『こども』と『物』の三角の関係を大切にしましょう。
また、子どもの意識の集中は大人と接していることでも支えることが出来ます。絵本を見るときもお母さんのおひざの上でお母さんと接している安心感や触覚体験が子どもの集中力の支えとなります。子どもがいすに座って、そわそわしている時に、背中をやさしくトントンと叩いてあげると、我慢をして座っていることがあります。
<大人の落ち着きが子どもの集中力や落ち着きになります。>
4~5歳位になると、子どもに口で注意をすることが多くなりますが、7歳ぐらいまでの子どもは大人を見本にしています。口で伝えるよりも多くのことを子どもたちは大人の身振りから学んでいます。ですから、大人の態度を変えることが一番、子どもを変えることになります。大人の慌しさや落ち着きの無さ、スマートフォンへの依存なども子どもを注意散漫にします。
<子どもの前では生活に役立つ仕事をしましょう。>
子どもたちは真似上手です。外面だけでなく、大人の内面も真似てしまいます。大人が一生懸命にご飯を作ったり、お掃除をしたり、大工仕事をしたり、子どもが見てわかる仕事に集中する姿を見せることが子どもの集中力を高めます。そして、そのことを遊びに転換します。子どもに家事を見せることも大切です。お父さんの大工仕事は是非、子どもの前でしましょう。
<子どもの脳の発達を支えるあそび>
子どもの脳の神経は日々成長して、繋がって行きます。身体を使って運動することにより、たくさんの回路が出来て、考えることが出来るようになりますが、脳が著しく成長するのは幼児期までです。子どもが見立て遊びをしたり、想像力を働かせる時に脳は鍛えられ、発達を促されます。子どもは自発的に遊ぶことを通して、自らを成長させています。子どもが幼ければ、幼いほど、一日の成長に大きいものがあります。
小さいお子さんのいる環境の中で、自分の考えや習慣を変えることは難しいと思いますが、日々の暮らしの中で楽しく取り入れられることがあればいいですね。